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伊達武将隊の浴衣デザイン

仙台藩祖・伊達政宗公生誕450年にあたる今年。

仙台城址を拠点に活動されている「奥州・仙台おもてなし集団・伊達武将隊」の皆様の浴衣をデザインさせていただく機会をいただきました。

8人それぞれの個性をどのような図案に落とし込んで表現するか。
武将がもつキャラクターやイメージを先行させてしまうととってつけたような衣装みたいになってしまう気がしたので、今回は着姿として自然で、そしてそれぞれの個性がモダンに表現されているものといったテーマで制作しました。

伊達武将隊8名のデザインをご紹介します。


伊達政宗公:三つ引縞 菱つなぎに雪(みつひきしま ひしつなぎにゆき)
モダンな菱つなぎ地に、伊達家の家紋である“竪三つ引両(たてみつひきりょう)”と“雪に薄(ゆきにすすき)”をモチーフに取り入れた、縞と水玉のデザインです。
「菱つなぎ」はYuianのテキスタイルに多く用いているモチーフですが、今回は政宗公バージョンの配色をつくりました。
8人並んだ時にセンターに構える政宗公らしい色合い、存在感を求めてもっとも苦心した配色です。
シンプルながら遠目にも華のあるデザインに仕上がったと思います。


伊達成実:石垣地 百足 立涌文(いしがきじ むかで たてわくもん)
仙台城の石垣を地模様に、兜の前立てになっているムカデをイメージした曲線で、立涌文様を表現したデザイン。
「武」という個性を大胆で立体的な立涌で表してみようと思い、そこにムカデのモチーフをプラスしました。
足跡として配したドットが従兄弟である政宗様のデザインとの共通性を生み、隣に並んだ時の2人の佇まいがとてもしっくりきて嬉しくなりました。


片倉小十郎景綱:潮風(しおかぜ)
片倉小十郎景綱が愛用した笛「潮風」を、変わり青海波と風紋で表現しました。地色は伊達武将隊でのイメージカラー「勝色(かちいろ)」。
地色の勝色を活かしながら「智」のイメージを纏った配色を考えてつくりました。
「青海波」は「wi-fi」のアイコンと似ていて現代にもどこか馴染みのあるデザイン。手ぬぐいなどにもたのしい柄がたくさんあります。
古代の日本人が考案した「波」のデザインと、現代に世界共通で使われている「電波」のデザインが似通っているのはとても面白いですね。
「青海波」はそれが連続するところに吉祥文様としての意味が込められているのが特徴と言えます。


茂庭綱元:仙台城下(せんだいじょうか)
茂庭綱元が整備に尽力した仙台城下町を表現したデザイン。全体に流れる葉の柄はケヤキ並木をイメージ。
長方形のレイアウトを仙台城下の「街割り」に見立てて、綱元のイメージで配色しました。
あまりに整然とさせるとデザインとしてつまらなくなってしまうので、ある程度の「ゆるさ」をもたせながら城下町に見えるよう調整を繰り返しました。


支倉六右衛門常長:遣欧蔓文(けんおうかずらもん)
渡欧した常長が出逢ったであろう西欧の文様を、蔓文(現代で言うボーダー柄)として配したデザイン。地模様は大海原と太陽をイメージした曲線です。
いわゆる日本的ではない柄を使いながら、まわりと逸脱しないデザインにしたいと思いつくりました。
更紗や縞柄などは日本・アジアもヨーロッパも元々同じルーツを持っていて、それはシルクロードで繋がっていたので、それぞれの文化を生き抜いた常長にピッタリなデザインになったと思います。


松尾芭蕉:筆間道(ふでかんとう)
「間道(かんとう)」とは縞柄のこと。松尾芭蕉と聞けば誰もがイメージする筆をモチーフに、オリジナルの縞柄を作りました。点々と飛ぶ墨がポイントです。
ひとつひとつの筆の大きさを大きめにして浴衣らしい気軽さや愉しさを演出しています。型をつくって手ぬぐいやトートバッグをつくりたくなるほどかわいらしさのあるデザインができました。


足軽・陽:格子地に九曜紋と口上(こうしじに くようもんとこうじょう)
伊達家の家紋“九曜紋”の旗印を背負い戦の場面で口上を述べる足軽・陽をイメージして作りました。伊達家と宮城・仙台にまつわる言葉を英字にして全体に配しています。
架空の人物ということですこし自由な遊びのある柄にしようと思いデザインしました。
家紋そのものを柄にするのは今回のテーマからするとリスクがあったのですが、彩度を高くして少し浮くようにした黄色の格子がバランスをとってくれました。
その黄色が沈んでしまうと全体的に中途半端な出来になってしまうと思っていたので、染め上がりまでドキドキでした。


くノ一・畑:雪輪に雀千鳥(ゆきわにすずめちどり)
伊達家の家紋“雪に薄(ゆきにすすき)”の雪輪と、飛び交う雀を表現。千鳥に丸いほっぺを加えた「雀千鳥」というオリジナル柄です。一見すると千鳥のようですが、よく見ると雀!というところがポイント。
紅一点のデザインとなりましたので、メリハリがつくように明るくかわいらしいデザインを試みました。
こちらも地色の発色が出来を左右する要素だったのでドキドキして仕上がりを待ったデザインのひとつです。

仙台だけにとどまらず全国にたくさんのファンを持つ伊達武将隊の浴衣をデザインできるのは、難しさもありましたがとてもたのしくてテンションの上がる仕事でした。
ファンの方々からもご好評をいただいているようで心からホッとしています。

今回は浴衣としてお披露目しましたが、夏以外の季節でも袴を合せて軽装バージョンの時にお召しいただけるそうですのでそちらもどうぞお愉しみに!

またこのような「世界にひとつのオリジナル着物(浴衣)」の制作も承っておりますので、ご興味のおありの方はフォームよりお問合せください。

伊達武将隊HP
https://datebusyou.jp/

2017年 「浴衣の会」開催です!

イベント『東京染めと京コモノの会』のお知らせ

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